ファイザーの中途採用事情と転職者の年収について

ファイザーはアメリカを本拠とする世界有数の製薬会社です。その歴史は古く、1849年に二人のドイツ人がニューヨーク・ブルックリンに設立した化学会社「チャールズ・ファイザー・アンド・カンパニー」が原点。

 

ファイザーの中途採用事情と転職者の年収について

 

高品質のペニシリン量産やテラマイシンの開発で世界的に有名となり、1953年に日本企業との合弁により「ファイザー田邊」を設立し日本進出。1989年には感染症薬メーカーとして確固たる地位を築き、2003年に「ファイザー株式会社」へと社名を変更し現在に至ります。

 

2011年には後発医薬品の販売にも参入を開始。日本法人の社員数は約5,000名、売上高は年間5,000億円を超える巨大企業です。

 

ファイザーの中途採用事情

ファイザーでは常時、中途採用を行っています。日本法人であるファイザー株式会社では主に研究開発、エスタブリッシュ医薬品、プライマリケア、製造、動物用医薬品事業部が機能しており、各部門から様々な職種において、募集がかかっています。

 

中途採用者に求められているのは即戦力として活躍できる力です。したがって、希望職種における実務経験が重視されます。また専門知識を豊富に有する人材も好まれる傾向にあり、修士修了以上の経歴を優遇・または必須としているポジションも存在します。

 

また、アメリカに本社があるグローバル企業のため、英語力が求められる場面が少なくはありません。これは職種によっても変わってくるのですが、基本的にMRは、本国からの資料処理・メール対応や英語文献の読解といった際に必要となる程度なので、高い英語力が必須という訳ではありません。

 

ですが、より専門性の高い製造・開発部門や管理職などの本社と頻繁に連携を取る必要のある立場の場合には、一定以上の英語力が必須条件となります。このようなポジションに就くためには、目安としてTOEIC600~750点程度のスキルが求められる傾向にあると考えてください。

 

なお、海外勤務のチャンスも大いにある環境のため、どの職種を望むにしても英語力を高めることがキャリア開発に直接的に繋がります。

 

募集人材に求める性格特性としては、職務に対する強いコミットメント、ビジネスパーソンとしての向上心、企業家精神といった、外資系らしい内容が挙げられます。変化・挑戦を恐れずに楽しむことが出来る人材が求められると考えてください。

 

年収について

ジョブランクによって、大きく年収が変わる仕組みとなっています。賞与は年3回(うち1回はインセンティブ賞与)、昇給は年1回。給与は業界内でも非常に高い水準にあり、管理職になると年収1,000万円を大きく超える金額が支払われることも珍しくありません。

 

具体的な年収額の例としては、以下のようになっています。

  • 30歳 MR 年収720万円
  • 32歳 MR(管理職) 年収900万円
  • 37歳 MR 年収800~900万円
  • 40歳 臨床開発 年収1,000~1,100万円
  • 40歳 臨床開発 グループマネージャー 年収1,200万円
  • 43歳 臨床開発 担当部長 年収1,530万円

 

この結果からも読み取れるように、ジョブランクにより大きな年収差が生じます。同年齢・同勤続年数・同職種の場合でも、一般職と管理職では100~200万円程度の差が出てきます。また、課長クラスでおおよそ年収1,000万円前後に到達しますが、部長クラスになると年収は1,500万円程度まで伸びてきます。

 

多くの場合、30代前半~中盤で課長クラスへと昇進することになりますが、優秀な成績を残した人材には相応の評価が下され、通常より1~2年早い昇進も可能です。

 

また、キャリア開発へのバックアップ体制も非常に充実しています。MBA留学支援プログラムや海外語学留学プログラム、インハウスのビジネススクール(ファイザービジネススクール:実際のビジネススクールと同じカリキュラムで、ビジネススキルや問題解決力を学ぶ)などの教育支援プログラムを多数提供しており、自身の能力向上に余念がない向上心のある人・上昇志向の強い人にとっては、大きなメリットが感じられる職場環境です。

 

さらに勤務地の自己申告・社内公募制度も存在します。この制度を利用することによって、日本及び海外での様々な働き方を選択することが可能となります。他部門への異動や、日本から海外への異動、またその逆も可能です。

 

ファイザーの就業環境、ワークライフバランスについて

日系・外資系と多くの企業が存在する製薬業界の中でも、ファイザーのワークライフバランスへの取り組みは、かなり高いレベルにあると言えます。

 

フレックス勤務が可能で、会社指定休日が定期的に存在。休暇取得が全社的に推奨されており、土日・祝祭日はもちろんのこと、夏季休暇・冬期休暇も一週間以上。有給休暇以外に、自分や家族の体調不良時に使えるファミリーケア休暇も年間5日付与され、ほとんどの社員が積極的に利用しています。

 

さらにファイザーでは2006年以降、ワークライフ・マネジメントの推進として時間外労働の削減に全社的に着手しており、その結果として、現在では20時オフィスクローズ、月曜日ノー残業デー、金曜日16時終業、ウィークエンドフレックス(金曜日12時退社可能)といった、非常に時間の融通が利くフレキシブルな勤務体制が敷かれています。

 

また在宅勤務制度やMR短縮勤務制度、結婚による勤務地選択制度、最大2年1ヶ月の育児休業制度など、通常勤務が難しい状況下でも自身の人生を犠牲にすることなく、仕事に取り組むことを可能とする環境が整備されています。

 

また外資系企業には珍しく、ファイザーには企業内労働組合が存在します。ファイザー日本法人は1953年の日本企業との合弁会社からスタートしているという成り立ちもあり、日本企業的な風土も強く持っています。そのため労働組合の発言力も大きく、不当な条件での労働を強いられる事は考えにくい状況です。

 

ファイザーの福利厚生について

一般的に、外資系企業は日系企業と比較して福利厚生に劣る傾向があります。しかしファイザーは外資には珍しく、手厚い福利厚生の提供で知られる企業でもあります。

 

退職金・企業年金制度や財形貯蓄制度、ストックオプション、借り上げ社宅制度など各種制度が用意されており、営業手当や外勤日当、時間外手当、住宅手当といった各種手当についても非常に高いレベルで支給されています。

 

具体的な数字を挙げると、日当は一日当たり2,500円、住宅手当は家賃の4割~5割といったところです。ただこれらの支給額は会社の業績によって変動するので、時期によっても違ってきます。また、住宅手当に関しては、勤務地によって支給額の上限が変わってきます。

 

その他、ファイザーへの中途入社を考えている人が知っておくべきこと

ここまでに記載してきたように、ファイザーは製薬業界企業の中でもトップクラスの仕事環境を提供している企業です。世界売上一位のグローバル企業であるため、大きな社会的インパクトを与える可能性のある仕事に携わる機会も豊富にありますし、給与面でも同業他社と比較して非常に高い水準にあります。

 

また就労環境についても恵まれています。外資系らしく、個人の裁量が大きくフレキシブルな業務への取り組みが許されている一方、日本法人の歴史の長さゆえに、大手日系企業のような手厚い福利厚生の提供や社員教育への莫大な投資も行っています。さらに業務内容も社会貢献度の高い内容であるため、公私共に充実した生活を送っている人が多く見られます。

 

このように、ファイザーは優れた面が多く見られる企業ですが、一方で退社という選択肢を選ぶ社員が多く存在する企業であることも事実です。

 

理由としては、まず業務において高いパフォーマンスが求められるところにあります。特にMRの達成ノルマは、ファイザーの商品力の高さを考慮しても、業界内で高いほうに位置します。従って、必然的に業務時間や精神的ストレスの増加に悩まされる社員の数も多くなっています。

 

次に、会社の方針や社内制度が頻繁に変わることを不満に感じる声も大きいです。ファイザーは大型M&Aを繰り返し、自社には無い事業・強みを持つ企業を吸収することで大きく発展してきた経緯を持っています。(これは”ファイザーモデル”と呼ばれ、一種のビジネスモデルとなっています。)

 

直近では2009年にアメリカのワイス社を買収しており、このような事業拡大戦略は現在も続いています。ある程度の規模を持つ他社を買収していく都合上、どうしても会社の方針や制度は一定せず、その度に従業員には不安感を与えているという面があります。

 

上記のような理由で退職する社員は多数存在します。中途採用を考える際には、上記の内容が自分にとって大きな問題となるかどうか、しっかりと見極めることが必要です。

 

総じて、変化への対応力や数字への強いコミットメント、高い向上意欲がある人間にとっては、ファイザーはワークライフバランスを調整しながら大きな仕事が出来る理想的な環境であると言えます。

 

新卒・中途での差別や性差別などもないフラットな評価制度が機能しているため、自らの能力を適正に評価してもらうことができ、転職を考えるには非常に良い会社です。
また、自身の実務経験や保有スキルにより、思いもよらないような待遇を提示してもらえる可能性も大いにあります。

 

転職エージェント活用のススメ

実際にファイザーへの転職を狙う時には、外資系企業に強い転職エージェントに相談することをオススメします。会社の内情について、常に最新の動向を把握していますし、どんな人物が求められているのかということにも精通しているので、エージェントのフォローを受けることで、より効果的に自分を売り込むことが出来ます。

 

また、エージェントは転職時の条件交渉を代行してくれるので、より好条件で転職出来る可能性があります。ビズリーチJACリクルートメントリクルートエージェントクライス&カンパニーマイケルペイジヘイズインターナショナルマイナビエージェントといったエージェントであれば、外資に強いので、相談先として安心出来ます。

 

※JACに関する補足

  • JACは海外移住、海外転職を支援するサービスではありません。海外勤務、海外駐在などの求人を紹介してもらえます。
  • 年収600万円~2,000万円の方にオススメのサービスです。

 

ただし、エージェントごとに言うことが分かれることもあるので、複数のエージェントから話を聞いて、最も納得がいくエージェント経由で転職活動を進めるようにしてください。少し面倒ではありますが、このほうが確実です。

 

※補足
JACは外資系企業、日系グローバル企業専門なので、こういった企業への転職を目指すのであれば、上記で取り上げている転職会社のなかでも、最も有効な情報源となります。

 

特に、30代以上の経験豊かなビジネスマンの転職支援を得意としているので、該当する人は要チェックです。(マネジメントレベルの求人も多いです。)

 

リクルートエージェント、ビズリーチも同様ですが、保有求人数が若干劣るので、第二・第三の選択肢と言えるような存在です。ただ、JACがカバーしていないような求人を扱っていることもあるので、リストアップさせて頂きました。

 

一方、マイナビエージェントは、若年層のビジネスマンの転職支援に力を入れている転職会社です。第二新卒者の転職支援も得意としているので、20代の人にオススメです。

 

いずれにしても、どの転職会社がいいのかというのは、実際に話をしてみたいと分からない部分もあるので、2~3社に同時にコンタクトして、比較検討することをオススメします。面倒かもしれませんが、これが最も確実な方法です。