『ワークプレイス・ヘルス・マネージメント』という、職場環境をテーマにした国際専門誌において、職場に犬がいると、社員のストレス軽減につながるという研究データが発表されました。
http://www.emeraldinsight.com/doi/full/10.1108/17538351211215366
(英語となりますが、上記のURLから、そのデータをまとめたレポートをダウンロードすることが出来ます。)
長いレポートなのですが、内容を要約すると、職場に犬を連れてくる社員、犬を飼っているけど、職場には連れてこない社員、犬を飼っていない社員の3グループに分けて、それぞれのグループのストレス度を計測するという実験を行ったそうです。
A:職場に犬を連れてくる社員
B:犬を飼っているけど、職場には連れてこない社員
C:犬を飼っていない社員
その結果ですが、朝、仕事を始める時点でのストレス度は、3グループとも同じレベルだけど、夕方、終業時間になった時のストレス度を計測すると、Aグループの社員のストレス度は、B、Cグループの社員よりも少なかったそうです。
しかも、その差は、心身に与える影響度を考えると、無視出来ないレベルであり、犬を職場に連れてくることは、社員の健康促進に寄与するという結論になったということです。
(管理人の拙い英語力で読解したものなので、細かい部分については、読む人によっては、違う印象になってしまうかもしれませんが、『犬が職場にいることが、ストレス軽減につながる』という趣旨については、間違いなしです。)
まだ、こんなにある。犬が職場にいることの効能
実は、海外では、アメリカを中心として、ペットが会社の就労環境にもたらす影響に関する、数々の研究が行われており、その効能が明らかになっていますが、そのなかでも、代表的なものを挙げると、下記の通りとなります。
社員のコミュニケーション促進
犬や猫がいる職場は、社員間の会話が増えて、それが、仕事上のコミュニケーション促進にもつながっているそうです。また、人間は動物を目の前にすると、素の部分が出やすくなるので、同僚や上司の意外な一面を見て、親近感がアップするといったことが多々あるようです。
さらに、ペットが職場にいると、それがネタになり、営業マンが社外の顧客と会った時にも、会話が進むということで、職場にペットがいることが、業績向上につながったという事例もありました。
よく、『一日駅長』みたいな感じで、犬や猫が登場することがありますが、まさに『営業部長』という感じですね。特に、ペットフードやペット用品などを扱っている会社だと、効果てきめんのようですが、納得です。
社員の運動不足解消
これは、犬連れの出勤を許可している会社で、実際に起きた事例ですが、ペットを連れてきている社員は、休憩の時に、犬を散歩に連れ出す傾向があり、それが運動不足の解消に役立っているそうです。
実際のところ、犬の散歩程度だと、それほど大きな運動効果はないのですが、デスクワークで、1日中、パソコンの前に座って働いている人の場合、オフィスの外に出ること自体、大きなリフレッシュ効果がありますし、まして愛犬と散歩するとなると、その効果は絶大です。
冒頭でも触れたように、ストレスを軽減する効果もあるので、愛犬が職場にいることで、心身ともにリフレッシュ出来るようです。
生産性向上
これは、アメリカのリサーチで明らかになったことですが、ペットを職場に連れてきている社員というのは、仕事への集中力がアップする傾向があるそうです。また、ペット同伴を認めることで、欠勤率が下がったというデータもあります。
仕事への意欲が増したということですね。結果的に、その会社の生産性が上がるということで、アメリカの場合、アマゾン、グーグルといった大手企業においても、次々と、ペット同伴出勤制度を導入しています。
動物が嫌いな人への影響は?
ちなみに、ここまでの話は基本的に、動物好きな人が対象です。でも、世の中には、犬や猫が苦手という人がいます。また、好き嫌いうんぬんではなく、動物アレルギーで、犬や猫の近くに寄ることが出来ないという人もいます。
小さな会社であれば、動物好きの社員で固めることも出来るかもしれませんが、大企業ともなるのと、そうも言っていられません。では、ペット同伴を認めた会社において、何か悪影響はでていないのでしょうか?
これは、アメリカの導入事例ですが、先ほど触れた、アマゾン、グーグルといった大手企業でも、ペットポリシー(規則)をしっかり整備することで、動物好きや社員と、動物が苦手な社員が、うまく共存出来るようになっています。
たとえば、オフィスのなかで、動物が自由に入れるエリアと、立ち入り禁止エリアに分けるといったことです。また、ペットを会社に連れてくる時には、事前申告制として、1日あたりの頭数制限をかけて、仕事に支障を来さないようにするといったことも効果的なようです。
これらの規則は、実際に運用するなかで、不備があれば、その都度変更されるので、修正を重ねることで、人間にもペットにも優しい環境が出来上がっていくということになります。
最後に、アメリカでも日本でも、いざ、ペット同伴制度を導入しようとすると、反対意見を持つ人が出てきますが、実際に導入すると、嫌がっていた人も、見る目が変わるケースが多いそうです。
いつの間にか、犬好き、猫好きになって、自分も飼い始めたという人も・・・
好みは人それぞれなので、ペット同伴が正しいとは一概には言えませんが、うまく運用すれば、職場に大きな効果をもたらすこと、間違いありません。『癒やし』が求められている時代、動物がいるオフィスというのは、その一つの解決策と言えるのではないでしょうか。