介護付き有料老人ホームというのは、特定施設(特定施設入居者生活介護)の指定を受けた有料老人ホームを指します。介護を受けられる態勢が整っているというのが、通常の老人ホームとの大きな違いです。介護付き有料老人ホームの特徴
1:必要なときに終身まで介護が受けられる施設
入居している要介護者に対して、介護サービス計画書に基づいた、食事・排泄・入浴などの介護サービス、及び、その他の日常生活、療養上の世話、機能訓練といったサービスを提供する施設が特定施設です。
『介護付き有料老人ホーム』に入居すると、1日24時間・年間365日、介護を受けることが出来るようになります。
2: 2種類のサービス形態に分かれる
介護付き有料老人ホームは一般型と外部サービス利用型の2種類に分けられます。施設の職員が介護サービスを行うのが一般型、施設の職員が作成した安否確認介護サービス計画書に基づいて、委託先の事業所が介護サービスを行うのが、外部サービス利用型です。
3: 3つの施設タイプがある
介護付き有料老人ホームには、入居時自立型・介護型・混合型の3つの施設タイプがあり、入居時の身体状況に合わせて、適切なタイプを選択することになります。それぞれのタイプの特徴について、ご説明します。
a. 入居時自立型
入居時に自分の身の回りのことを、自分で出来る人のみが入居出来るタイプの施設です。介護付き有料老人ホームの中でも、比較的豪華な施設が多く、入居一時金が高額な施設が少なくありません。
食の楽しみを追求した豪華な食事や趣向を凝らしたレクリエーションを楽しめるなど、充実したセカンドライフを送れるように、細かい配慮がされているのが、大きな特徴です。フィットネスやシアタールームなど、共有設備が充実している施設も多いです。
玄関となるフロントで、配送やタクシーの手配などの対応を行なってもらえるので便利ですし、常駐スタッフがいることで、セキュリティ面でも安心です。実際、フロントは、詐欺などから高齢者を守る防犯の役割も果たしています。
必要に応じて、介護サービスを受けることも出来ますが、要介護度が重くなると、施設内の介護用フロアーに移ることが求められることもあります。自立型の居室は、浴室付きで広い部屋が用意されていることが多いです。
b. 介護型
入居時に介護が必要な人が入居するのが、介護型施設です。介護型の居室は自立型に比べると狭く、車椅子での生活や杖歩行などの生活にも対応しやすい設計になっています。入居者は全員が要介護者であるため、自立型のような共用設備はほとんどありません。
食堂やリビングに集まっておしゃべりをしたり、テレビを観たりしてゆっくりと過ごすというのが、一般的な生活スタイルです。入浴や食事の時間は、ある程度は施設側の意向に沿う形で、設定されることになります。
c. 混合型
上記の自立型と介護型が混じっている施設が混合型です。自立している人、介護が必要な人、どちらでも入居することが出来ます。混合型と一口にいっても、実際の入居者は、その大半が要介護者という施設もあれば、逆に自立者ばかりで、実質的に自立型と言えるような施設もあります。
そのため、自立している人と要介護者だと、やはりお互いに交わるのが難しい面もあるので、施設選びを間違えると、入居後、親しい時間を一緒に過ごす仲間が見つからず、孤立してしまうといった状況に陥ってしまう可能性があるので、施設の状況については、事前にキチンと把握することをオススメします。
介護付き有料老人ホームへの入居条件
介護付き有料老人ホームへの入居条件は、それぞれ下記の通りとなります。
- 入居時自立型
要介護認定を受けていない人
完全に自立している人
- 入居時介護型
要介護認定で要支援、要介護認定を受けている人
- 入居時混合型
要介護認定を受けていない自立している人
要介護認定で要支援、要介護認定を受けている人
3タイプの条件のほかに、介護付き有料老人ホーム共通の入居条件として、ホームごとに、年齢、必要な医療行為、感染症の有無、保証人・身元引受人の有無等の条件が設定されています。
また、日常的に医療行為が必要な人の場合、看護師が24時間常駐している施設でないと、入居を断られるケースがあります。事前にホームに確認するようにしてください。
入居期間
介護付き有料老人ホームは終身利用が原則です。一度入居したら、本人が希望する限り、無期限で利用することが可能です。ただし、利用料の滞納など、ホーム側で解約条件が設定されていることもあるので、しっかりと確認しておく必要があります。
また、入居時自立型に入居後、要介護になった場合の対応や、入居時介護型へ入居した後に介護度が軽くなり、自立の判定になった場合の対応についても、契約前に確認しておくと安心です。
介護付き有料老人ホームの費用
介護付き有料老人ホームを利用する時に、発生する費用としては、入居一時金と利用料があります。入居一時金については、施設タイプによって、大きく金額が異なります。
最も高額なのが、入居時自立型のタイプで、最低でも数百万、ラグジュアリーな施設だと、数億円の一時金が発生するケースもあります。一方、入居時介護型や混合型の場合、高額でも数千万円程度におさまります。
入居一時金0円といった施設もありますが、サービスの質が低い、人員不足、施設が老朽化しているなど、問題があるケースもあるので、お金だけに釣られずに、サービス内容をしっかりと見極めることが重要です。
月額利用料については、入居時自立型の場合、入居一時金が高額のため、月額利用料は低めに設定されているケースが多いです。これに対して入居一時金0円の契約では、月額利用料がやや高めの設定になっている場合があります。
介護付き有料老人ホームの月額利用料の目安は、12万〜30万円程度です。内訳としては、家賃、管理費、水道光熱費、食費は定額となり、医療費や介護サービス費、オムツ代などは利用した分だけ負担することになります。
<クーリングオフ制度>
有料老人ホームにおいては、入居一時金に対してクーリングオフが適応になります。何らかの理由により解約・退居した場合には、契約を行った日から90日以内であれば、入居一時金が全額返金されます。
サービス内容
介護付き有料老人ホームに入居すると、毎日の健康管理や食事サービス、掃除や洗濯などの生活支援サービスが受けられます。
基本的な入浴、排泄、食事に関する介護サービスは必要な時に必要なだけ受けられますが、ホームによっては、通院などの送迎や、付き添いなど、一部のサービスが別途オプションとなっているケースもあります。
ホームによって支援してくれる介護サービスの範囲が違うので、事前に確認しておくようにしてください。介護保険外の介護サービスについても、同様です。
食事については、ホームに厨房がある場合には、ホームの職員が調理しているのか、契約業者が厨房に立って調理しているのか、または配食業者に依頼しているのかなどの違いがあります。食事にこだわりがある人は、この点についても確認しておくことをオススメします。
入居一時金0円の介護付き有料老人ホームが増えてきたことにより、入居の敷居が低くなり、選びやすくなってきました。
介護付き有料老人ホームは、特定施設の指定があることで、居室の広さや職員の配置、介護サービスの内容については、足並みが揃ってきているといえます。そのため、施設を選ぶ時には、そのホームの雰囲気や運営方針などを重視するのも、良い選び方と言えます。