住宅型有料老人ホームというのは、食事サービスや見守りなどの生活支援サービスが付いた有料老人ホームです。地方自治体の財政事情により、介護付き有料老人ホームの開設が抑えられているという影響もあり、近年増えている施設です。
住宅型有料老人ホームの特徴
特徴1:比較的自立した元気な高齢者向けの施設
住宅型有料老人ホームは、自立した高齢者が、より安心して暮らせることを目的として、運営されている施設です。食堂や浴室、リビングなどの談話室を共有施設にしているホームが多く、レクリエーションや趣味活動などを楽しめる環境も用意されています。
特徴2:介護が必要になったら外部サービスを利用
自立した生活を送っていても、時には介護が必要になることがありますが、そういった時でも、住宅型有料老人ホームでは、排泄や入浴介助などの身体的な介護サービスの提供は実施しません。
ただし、介護サービス事業所を併設しているホームもあり、介護サービスが必要になったら、その事業所と契約して、介護サービスを受けることが可能です。また、ホームに併設された介護サービス事業所以外でも、気に入った事業所があれば、利用することが出来ます。
入居する前に、ホームに併設されている介護サービスや、近隣にどのような介護サービス事業所、デイサービスがあるのか、確認しておくと、いざという時に安心です。
なお、介護度が重くなった場合には、系列の介護付き有料老人ホームに転居出来るよう、支援体制を整えているホームもあるので、系列にどのようなサービスがあるのか、興味がある人は、併せて確認しておくことをオススメします。
特徴3:集団生活の縛りがあまりない
有料老人ホームと名前がつくと、ホームのタイムスケジュールに合わせた生活をイメージしてしまいがちですが、住宅型有料老人ホームの場合には、比較的自由に好きなことを楽しむことが出来ます。
自由に過ごしながら安心して暮らせるように、見守りサービスや生活支援サービスが付いた高齢者向けマンションとイメージするのが、最も分かりやすいです。
特徴4:お部屋は個室
ホームによって広さは様々ですが、夫婦で入居出来る広めの部屋を用意しているホームが少なくありません。実際、住宅型有料老人ホームには、夫婦で入居されている方が非常に多いです。
住宅型有料老人ホームへの入居条件
入居条件は、年齢、要介護度によって決まってきます。年齢については、60歳、65歳など、介護付き有料老人ホームと比較すると、若い年齢層から、入居を受け入れているホームが多くみられます。
また、入居時の身体状況については、『自立していること』が原則となりますが、要介護者であっても受け入れているホームがほとんどです。認知症などの症状がみられていても、入居が出来るケースがあるので、遠慮せず問い合わせてみてください。
入居期間
特別に入居期間を決めたうえで入居しているのでなければ、基本的には終身での利用が可能です。しかしながら、要介護状態が重くなると、外部の介護サービスだけでは、サポートしきれない場合があるので、この場合、別の介護施設に移ることになります。
このような理由から、終身までを見据えたホームとしては、あまりふさわしくありません。そのため、特別養護老人ホームの入居待ち期間中や、子ども世帯が同居する準備が整うまでなど、一時的に利用するという人が多いです。
住宅型有料老人ホームの費用
入居一時金は0円~数千万円までピンキリです。注意点としては、住宅型有料老人ホームの場合、他のタイプの有料老人ホームと比較して、短期間で退居する可能性が高いので、その場合、支払った入居一時金が返還されるのかどうか、事前に確認しておくようにしてください。
なお、有料老人ホームの入居一時金には、クーリングオフが適応されるため、契約を結んでから90日以内の解約であれば、全額返金されることになります。
月額利用料については、10万円~30万円というのが一つの目安となります。主な内訳としては、家賃、管理費、水道光熱費、食費等であり、介護サービスの料金は含まれていません。
外部の介護サービスを利用した場合には、この月額利用料とは別に、利用した介護サービスの分が必要になるので、要注意です。ただし、介護保険適応の介護サービスを利用することになるはずなので、自己負担額は1割、または2割で済むことになります。
なお、ホームによっては、部屋の広さや入居年数に合わせた料金プランが用意されている場合があります。(入居年数については、3年タイプ・5年タイプというのが、最も多いです。)
重介護状態になった時の費用負担について確認しておく
自立から要介護状態になっても、要介護度が軽いうちは、介護保険の1割、または2割負担でまかなえるものですが、要介護度が重くなり、1日に何度も介護サービスを利用する必要が出てくると、介護保険の上限を超えてしまう場合があります。
このような場合には、入居一時金免除で系列の介護付き有料老人ホームへ転居させてもらえるなどの配慮をしてくれるホームもあります。繰り返しになりますが、入居先を決める前に、要介護度が悪化した場合の対応についても、しっかりと確認しておいたほうが安心です。
サービス内容
住宅型有料老人ホームでは、ホームの職員が食事、洗濯、掃除などの生活支援サービスをおこないます。スタッフや看護師が常駐している施設、見守りサービスを提供している施設も多いです。
また、医療機関と連携して、定期的な往診や健康相談、緊急時の往診、救急対応として病院の手配や緊急入院の受け入れなども行っています。必要に応じて、外部の介護サービスを併用することも出来るので、健康管理に関しては、万全のサポートを受けられると考えて間違いなしです。
入居する前に利用していた、ケアマネージャーや訪問介護サービスを引き続き利用するといったことも可能です。
まとめ
住宅型有料老人ホームは、自立している人であれば、自由・快適に、そして、安心して暮らすことが出来ます。介護サービスが含まれていないので、その分、月額利用料を抑えることも出来ます。
ある程度の要介護状態になっても、訪問介護やデイサービスなどを上手に利用しながら暮らし続けることが出来る住宅型有料老人ホームは、自宅に近い生活を送ることが出来る施設と言えるでしょう。
介護サービスが不必要だけど、自分だけで日常生活を送るのは大変という人に向いている施設です。