家庭での生活が困難な高齢者が、低料金で食事や日常生活のサポートを受けられる施設として、軽費老人ホームという施設が存在しますが、ケアハウスは、そのなかの一つです。自炊が難しいぐらいの障害を抱えている高齢者、家族の援助が受けられず、自宅での生活が困難な高齢者が入居する施設です。
補足:3つの軽費老人ホーム
軽費老人ホームには、A型、B型、ケアハウスの3種類の施設形態が存在します。A型・B型は老人福祉法に定められた福祉施設であり、所得によって月額利用料が変わります。また、一定以上の所得を持つ人は、入居出来ません。
A型とB型の違いは、食事の提供サービスがあるかどうかです。食事の提供があるのがA型、自炊が基本となるのがB型です。
一方、ケアハウスは、食事を提供する施設なので、その点ではA型と一緒ですが、入居条件に所得制限がなく、誰でも入居することが出来ます。むしろ、ケアハウスはA型・B型よりも、費用がかかるので、経済力がないと入れない施設と言えます。
簡単に言えば、A型・B型は低所得者を支援するための介護施設、ケアハウスはお金さえ払えば、誰でも、介護サービスを受けられる施設です。
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認知症の有無など、健康状況に応じた入居条件があるので、それらを満たしていることが大前提です。
ケアハウスの特徴
特徴1:2つの施設形態に分かれている
ケアハウスには、自立型と介護型の2つのタイプが存在します。「自立型」は、身の回りのことが自分で出来る人が入居する施設です。
入居後、軽度の介護が必要になった場合には、訪問介護サービスやデイサービスを利用することが出来ますが、要介護度が2より重くなると、転居を余儀なくされると考えてください。
一方、「介護型」は、施設の職員から介護サービスを受けることが出来る施設です。ケアハウスに入居している人に要介護者が増えてきたという事情に合わせて、新しく登場した施設形態です。
介護型は認可制となっており、特定施設入所者生活介護に指定されているケアハウスだけが、介護サービスを行うことが出来ます。
特徴2:比較的安く入居できる
ケアハウスは公的な老人ホームと言われるほど、他の施設に比べると費用が安いのが特徴です。A型・B型の軽費老人ホームと比較すると、費用は割高になり、1000万以上の一時金を支払うことが要求される施設もありますが、全体的にみれば、月数万円程度の利用料で済みます。
費用の内訳としては、サービス提供費、家賃相当の居住費、食費が含まれた生活費となりますが、居住費・生活費は全員一律、サービス提供費については、所得に応じて設定されるというのが、一般的です。
特徴3:施設ごとに個がある
ケアハウスでは、施設によって運営方針が違いますし、行事、レクリエーションへの取り組みも異なります。個人を尊重している施設では、時間的な縛りがあまりなく、規則も緩やかに定められています。
一方、楽しい毎日を送ることを最重要視している施設では、毎日のレクリエーションや季節の行事を計画するなどして、入居者が賑やかに過ごすことが出来るように、配慮しています。
また、買い物代行や外出時の付き添い、送迎などを無料で行うサービスを提供している施設もあります。(ケアハウスでは、通常、こういったサービスは有料とされています。)
施設によってサービス内容は千差万別なので、ケアハウスを選ぶ時には、事前にしっかりと確認するようにしてください。また、施設を実際に見学して、雰囲気や1日の様子などをチェックするのも重要です。
特徴4:食事や入浴以外は個室でのんびり
ケアハウスは、ほとんどの居室が個室です。なかには夫婦などで入居出来る2人部屋もあり、プライバシーが守られる環境になっています。居室にはミニキッチンや洗面所、トイレが用意されています。
共用設備については施設により様々ですが、大浴場やレストランがあるケアハウスもあります。
食事や入浴は同じ場所で過ごすのが基本です。他の入居者にあまり干渉されたくない場合には、50人以上の大規模なケアハウスのほうが、いつも同じ人と顔を合わすという機会は少なくなります。
また、家庭的な雰囲気を希望するなら、20人程度の小規模なケアハウスのほうが、他の入居者との距離が近づきやすいので、オススメです。
特徴5:単独と併設の違い
ケアハウスには単独で建っているタイプと病院や老人保健施設、特別養護老人ホームなど、医療施設・介護施設と併設して建っているタイプがあります。併設型だと、医療機関を利用しやすいですし、介護についても、同じ運営会社からサービスを提供してもらえるので、何かと便利です。
ケアハウスへの入居条件
下記の要項に合致することが、ケアハウスへ入居するための条件となります。
- 身体機能の低下などにより自立した日常生活に不安のある高齢者
- 家庭の事情などにより家族の援助が困難な状態にある高齢者
- 共同生活に適応出来ること
- 自立型は、60歳以上(夫婦の場合にはどちらか)で、自立〜軽度の要介護度を有している
- 介護型は、おおむね65歳以上で、要介護度1以上
この他、感染症などの条件が設定されていることもありますが、このあたりは、施設よって違うので、事前に確認するようにしてください。
入居期間
ケアハウスは終身利用が基本ですが、自立型ケアハウスの場合には、重度の要介護状態になった時、3ヶ月以上の長期入院と見込まれる時には、退去が求められることになります。ただし、退去条件についても、施設によって様々なので、事前に確認しておきましょう。
ケアハウスの費用
入居一時金は不要とする施設がほとんどですが、なかには高額な入居一時金を設定している施設もあります。月額費用については、7万円~20万円程度になると考えてください。
なお、先ほども触れましたが、月額費用のなかに含まれるサービス提供費は、所得によって請求額が違ってきます。前年度の所得に応じて設定される仕組みとなっており、低所得の人は、軽減措置を受けることが出来ます。
ケアハウスのサービス内容
1:食事サービス
ケアハウスでは、栄養やカロリー計算がされた食事が提供されています。食事場所は施設により様々です。共同の食堂やレストランで食べるという施設もあれば、個々の居室で食べることが出来る施設もあります。
2:入浴サービス
自立型ケアハウスには、大浴場や個別浴が用意されており、入居者が自分一人で入ることになります。介護型の場合には、機械浴なども用意されており、介護職員が付き添います。
自立型・介護型、いずれにおいても、事故防止や緊急時の対応がとれるよう、入浴時間帯を決めている施設がほとんどです。
3:レクリエーションや趣味活動
施設によって力の入れ具合に差があります。多趣味の人、体を動かしたり、談話を楽しみたい人には、レクリエーションを充実させているケアハウスを選ぶことをオススメします。