日本IBM株式会社の中途採用事情と転職時の年収について

日本IBM株式会社の中途採用事情と転職時の年収について

 

日本IBMは言わずとしれた、アメリカのIBM本社を親会社に持つ業界最大手の外資系IT企業です。約17000名という膨大な社員数を誇り、採用意欲が強く、中途採用についても常時募集がかかっています。

 

特にITコンサルティング業務、及び、サーバーなどのハードウェア製品・ソフトウェア製品の開発・販売業務に関連するポジションでの求人が多くなっており、これらの業務に関する直接的・間接的な実務経験がある人は有利です。

 

外資系企業とはいえ、創立は戦前の1937年と歴史が古い会社であり、日本法人の独立性・独自性が強かったこともあり、日本の企業文化がかなり取り入れられています。ただし、近年では独自性を排除して、アメリカ本社が直接コントロールする動きが強くなっており、人材登用・組織構成などにおいて、外資系の実力主義が色濃くなっています。

 

中途採用者に対しても、即戦力としての活躍が求められるので、転職のハードルは高くなっていると考えてください。

 

中途採用で募集されている職種

日本IBMは中途採用に積極的であり、数多くの求人が出ています。代表的なものをあげると下記の通りとなります。

 

コンサルタント

日本IBMの中途採用の求人で、最も数が多いのがITコンサルタントです。様々な業界の企業に対して、ITを活用した業務戦略の立案、及び最適化のコンサルティング、ITソリューション設計など、様々なコンサルティング業務に従事する人材を募集する求人が出ています。

 

必要な能力は、提案力・コミュニケーション力・論理的思考能力・調整力などです。採用案件によっては、金融業界・保険業界に関する業界・業務知識を有していることや、これらの業界におけるコンサルティング経験を持ち合わせていることが条件とされています。

 

また、世界各国の企業が顧客となるため、ビジネスレベルの英語力も必須とされています。海外勤務経験を有する人材を厚遇するような案件が出てくることも多いです。

 

セールス

営業職も募集数が多い職種となります。ITビジネスに関するセールス経験を有していること、コミュニケーション力、英語力に優れたものを持っていることが応募条件となっています。前職の実績次第では、かなりの高収入が提示されるケースも珍しくありません。

 

ITエンジニア

ネットワーク/クラウドソフトウェア/セキュリティ等、様々な分野において、経験豊富なエンジニアを募集する求人が出ています。ただし、案件によっては、実務経験はそれほど重視されず、それぞれの開発環境におけるIT系知識・スキルを有していれば応募可とされるケースもあります。

 

IBMの年収・人事評価制度

日本IBMの年収事例ですが、幾つか標準的な例をあげると、以下の通りとなります。

 

IBMの社員年収

  • ITエンジニア:入社6年目 年収500万円
  • 営業:入社7年目 年収450~1100万円
  • マネージャー:入社17年目 年収900~1000万円
  • 営業 40歳 年収640万円
  • 営業 45歳 年収650~900万円
  • コンサルタント 30歳 年収750万円
  • 主任コンサルタント 30歳 年収800万円
  • コンサルタントマネージャー 39歳 年収1200~1300万円
  • エンジニア 28歳 年収500万円
  • SE 30歳 年収670万円
  • SE 40歳 年収900万円
  • 主任ITスペシャリスト 30歳 年収750万円
  • 主任GBS 35歳 年収700~750万円
  • 経理財務 課長 45歳 年収1000万円
  • 経理財務 部長 35歳 年収1100万円
  • カスタマーサービス 30歳 年収1000万円
  • カスタマーサービス 課長 37歳 年収1000~1100万円
  • プロダクトマネージャー 32歳 年収1000万円
  • プロダクトマネージャー 35歳 年収1000万円
  • PM 40歳 年収1100万円
  • PM部長 42歳 年収1100万円
  • 開発 37歳 年収850万円
  • 開発 係長 35歳 年収750~800万円

 

営業職の場合、成果報酬の度合いが大きく、実績に応じて給与額は大幅に異なります。勤務年数やポジションは関係がないため、上記の例であるように全く同じ立場の営業マンでも、成績によって倍以上、収入に差がつくこともあります。

 

基本給となるベースは低いので、実績を出せないと低収入に甘んじることになり、かなりプレッシャーが大きな労働環境にあると言えます。

 

一方、エンジニアに関しては、実績給の比率は少なく、年収自体も低めとなりますが、業績・実績にかかわらず、安定した年収が確保されています。マネージャーとして順調に昇格していけば、1000万円台に到達出来るので、安定性を求める人にとっては悪くない状況です。

 

具体的な給与算出の仕組みですが、バンドと呼ばれる社員格で給与レンジが決まります。バンドアップは年4回ほど実施される社内試験において、その資格が得られますが、試験に受かったからと言って必ずしもバンドアップするとは限りません。

 

試験は筆記と面接から構成されており、実際にバンドアップするかどうかは上司の裁量による部分が大きくなります。バンドアップしないと基本給は上がりません。そのため、社員間の昇給スピードは大きく異なっています。

 

なお、バンドごとの平均年収は、おおむね下記のようになっています。

 

Check!

  • バンド6 年収500~700万円
  • バンド7 年収500~700万円
  • バンド8 年収500~700万円
  • バンド9 年収500~700万円
  • バンド10 年収500~700万円

 

賞与は個人業績と会社業績が加味されたうえで、算出されます。しかし、会社業績イコール賞与の基準数値というわけではなく、会社の意向次第で決まるため、納得感が薄いという声も聞かれます。

 

日本IBMは、平均年収が参考にならない会社

東洋経済では、定期的に、企業別の年収ランキングを集計、トップ500を公開しています。インターネット上で確認出来るランキングで、最新のものは、2015年度版となります。
http://toyokeizai.net/articles/-/87595?page=11
http://toyokeizai.net/articles/-/86439?page=11

 

このデータは年齢別に集計されていますが、30歳の場合、500位の企業は年収560万円、40歳の場合、年収714万円となっています。では、日本IBMは何位なのかというと・・・

 

500位以内に入っていません。ただし、日本IBMの年収が、そんなに低いのかと言えば、そんなことはなく、全社員の平均年収で言えば、800万円ぐらいにはなっています。

 

それなのに、東洋経済の年収ランキングに入っていない理由は、IBMはポジションが上がるに連れて、給与が高くなる会社だからです。

 

たとえば、コンサルタントの場合、一番下のレベルだと、年収は500万円前後ですが、マネージャークラスになると、1000万円を超えます。

 

SE、プログラマー、システムアナリストといったポジションも、役職なしの一般職だと、年収は500~600万程度が上限となりますが、シニアマネージャーになると、900万円以上になります。また、どの職種でも、役員クラスになれば、数千万という数字になります。

 

要は、日本IBMは、一定のポジションに上がらないと、高給与は望めない会社ということです。そして、マネージャークラスに昇格するとなると、一定量の経験・知識が求められるために、40歳以上になるのが、一般的なケースです。

 

そのため、30歳・40歳の平均年収ランキングには、名前が出てこないというわけですが、日本IBMは年功序列の会社ではなく、40歳前にマネージャークラスに就いている人もいるので、実力さえあれば、十分に高年収は見込めます。

 

ただし、一般職に関しては、給与は決して高くないので、他社と比較検討してみることをオススメします。ちなみに、情報・通信といった業界の場合、大企業よりもベンチャーのほうが、給与が高い傾向にあるので、あまり会社の知名度だけで、判断しないほうがいいです。

 

そのかわり、ベンチャーだと、福利厚生が皆無だったり、就労環境が良くなかったりという欠点もあるのですが・・・

 

このあたりは、トレードオフの関係となるので、やはり比較検討が重要ということになります。(ベンチャーで経験を積んで、高年収が保証されるマネージャーポジションで、IBMへの転職を目指すというのもアリです。)

 

日本IBMの福利厚生制度

係長など管理職になると、裁量勤務手当が支給されます。係長格で月7万円です。以前は借り上げ社宅制度がありましたが、現在は廃止され、住宅手当制度に変わっています。条件を満たせば最大7.3万円の住宅補助を受けることが出来ます。

 

保養所が全国にあり、社員本人と被扶養者が割安で宿泊することができます。スポーツジムなどの割引制度もあります。

 

また、社員・家族の健康維持を目的とした福利厚生がしっかりしている会社であり、IBM独自の生命保険や出張中の事故をカバーする保険、定期健康診断プログラム、健康相談プログラム(いつでも、自由に相談することが可能)などが用意されています。

 

IBMは日本の企業文化が強い会社だったので、福利厚生は、外資とは思えないくらい充実していますが、外資色が強まるにつれて年々削られているのが現状です。

 

ただし、財産形成に関する福利厚生(確定拠出年金制度、財形貯蓄制度、提携住宅ローン)については、強化されているので、退職後の生活設計に対する意識が強い人にとっては、今でも、日本IBMの福利厚生制度には、十分に満足出来るでしょう。

 

女性の働きやすさ

女性の働きやすさという点に関しては、日本IBMは外資系の良い面が出ています。昇進などに男女差は全くないですし、女性をサポートする制度も整っており、産休・育休制度の取得事例も多々あります。

 

客観的に見て、女性が働きやすい職場と言えます。しかし、実際に家庭を持ちながら最前線でバリバリ働くというのは、やはり困難であり、独身のうちはバリバリ働くけど、家庭を持った後は、一時的にキャリアを断念するという人が多いようです。

 

ただし、子育て終了後は、本人の実力次第ではありますが、第一線に復活するといったことも可能なので、チャンスは開けていると考えて間違いないかと思います。

 

退職する理由

業績不振のため早期退職により転職する人が増えています。IBMの労働組合はあまり強くないため、業績悪化と会社に言われると退職せざるを得ない状況になるケースが多いようです。また、若い人たちが成長する環境が整っていないため、もっと成長出来る企業を求めて、転職していく人も多いです。

 

しかし、退職理由としては、最も多いのは、激務のため体を壊すという理由です。現時点でも病気休職中の人が2割を超えていると言います。若いうちはいいけれど年を取っても働き続けられる環境ではないと、転職していく人も少なくありません。

 

中途採用で日本IBMに入る場合には、入社後の業務負担に関しては、よくよく注意する必要があると言えます。

 

転職先としての日本IBMの評価

このように、日本IBMは外資系の良いところ・悪いところを、それぞれ持ち合わせている企業です。営業とエンジニアは給与体系が全く別物というふうに、職種によっても事情が大きく違うので、一概にこんな会社とは言えないのですが、それだけに転職先として満足出来る会社なのかどうかというのも、人によって感じることが違うはずです。

 

そのため、自分が転職先の会社に望む条件・理想像と照らし合わせて、日本IBMが転職先としてどうなのか、しっかりと見極める必要があります。ただし、これは一個人が実行するのは難しいので、日本IBMの社内事情に詳しい転職エージェントに相談してみることをオススメします。エージェントは転職のプロなので、客観的に評価してくれます。

 

また、転職エージェントであれば、当たり前ですが数多くの企業の求人を抱えているので、日本IBMよりも、自分の理想像に近い会社があるかどうか教えてもらうのもアリです。

 

ビズリーチリクルートエージェントマイナビエージェントJACリクルートメントクライス&カンパニーマイケルペイジといったエージェントであれば、外資系企業の求人に強いので、相談先としてオススメです。また、エンジニアとしての転職を目指すのであれば、マイナビITIT転職ナビワークポートといったエージェントは、ITエンジニアの求人に強いので、こちらもオススメです。

 

エージェントへの相談は無料で出来るので、是非活用してみください。(エージェントごとに保有する求人情報が違うので、複数のエージェントから話を聞いたほうが、より確実です。)

 

※JACに関する補足

  • JACは海外移住、海外転職を支援するサービスではありません。海外勤務、海外駐在などの求人を紹介してもらえます。
  • 年収600万円~2,000万円の方にオススメのサービスです。

 


※補足
このところ、JACは現職者の転職支援に力を入れており、離職中の人の場合、よほどの経験・スキルがないと、有望な求人を紹介してもらうのは難しくなっています。

 

(経験・スキルの定義が難しいのですが、前職の給与が年収600万を超えるぐらいであれば、まず大丈夫です。)

 

この条件に当てはまらない人は、上記でも触れているリクルートエージェント、もしくはマイナビエージェントといった転職会社のほうがオススメです。

 

 

特に、マイナビは若手層の転職支援に力を入れているので、35歳ぐらいまでの人であれば、職歴などを問わず、好条件の求人を紹介してもらえる可能性が大です。

 

(この年代のビジネスマンであれば、経歴不問で募集をかけている企業の求人を多数扱っており、そのなかには大手も含まれているので、なかなか悪くないです。)